本の内容

山に生き山に逝いた大島亮吉の生涯と、同時代に活躍した学生登山家たちの青春群像を描いた貴重な一書。

──海の鳥が海を寂しいとしないように、自分も狭く孤独な、独自の世界をけっして寂しいものとは思わないだろう。寂しいのはむしろ華やかな運動家的登山者のあいだに身を置くことだ。一人自分の山へ行くとき、山は以前にも増して親しく自分を抱擁するだろう。陽の光も雨も風も嵐さえも、そこで疲れ、苦しみ、歓び憩う自分にとっては身近に感じられるだろう。──（『登高行』第五年より）

著者紹介

深野稔生（ふかの としお）
1942年、東京浅草生れ。現在宮城県仙台市土樋在住。公益社団法人日本山岳ガイド協会所属。仙台YMCA山岳会元会長。東北おもに宮城県周辺の山の谷や岩、積雪期登山に傾倒。地方登山史・山名考・民俗学などに興味を持ち、日々自らの地平を見つけるべくフィールドワークにいそしむ。
著者に『宮城の山ガイド』（歴史春秋社）、『山遊び山語り 栗駒･船形編』（無明舎出版）、『銀嶺に向かって歌え』（みすず書房）、『てっぺん駈けた記』（白山書房）など。

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