高野山麓に窯をかまえるシゲさんこと森岡成好(しげよし)氏と30年前に新宿の小田急画廊で出会って以来、650キロの道の遠さをものともせず、何度車で窯を訪れたことか。作陶かたがた山好きのシゲさんに近くの大峰の山や沢に連れて行ってもらった。
大峰の山は日本アルプスとも、おだやかな東北の山とも違い、それほど高くないが山深く、それでいて人くさい。あまり何度も行き過ぎて、どの山にいつ行ったのか、どの沢にいつ入ったのか自分でも分からなくなった。
本書には、1987年の雪の山上ヶ岳から、2006年の新雪の稲村ヶ岳まで約20年間にわたって連れて行ってもらった大峰の山々の山行が含まれている。シゲさんは奥駈と言われる尾根道より、大峰の沢の方が自然が残っていると言って沢登りを好む。お陰でわたしは膝を痛めてしまったが、それも悔いない。
【絵】カラー21点、モノクロ53点
1929年 画家・熊谷守一の二女として東京に生れる。
1954年 大阪の梅田画廊でのはり絵の個展をはじめ、中央公論社画廊、日動画廊、名古屋の丸栄百貨店でも個展を開く。
1970年 はじめて画文集を出版。
1974年 新宿の小田急百貨店で油絵展を開き13年続ける。
1978年 「守一最後の十日間展」を開催。彫刻・陶絵もはじめる(2001年には石彫も手がける)。
1980年 この年より、みずさわ画廊で油絵・水彩・陶絵の個展を15年ほど続け、後に、札幌・北上・山形・下関・高山でも個展を開き200回を超える。
1985年 父の旧居に「熊谷守一美術館」を創設。このギャラリーでの個展を毎年開催。
2007年 豊島区に守一作品を寄贈し、「豊島区立熊谷守一美術館」になる。
日本美術会々員、日本山岳画協会々員。
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