一人の登山者が十日分の食料とテントを担いで羽田から源流へひたすら水流に沿って歩き始めた。この怪し気で滑稽な目論見はゴミ落下事件、小河内ダム登攀の快挙、釣師との葛藤などをまじえながら水源のミズヒに達する。コンクリート巻きにされて自然の姿を失った川に直面し、日本の川を見捨てた元凶に迫り、社会と川の関係、登山者のおかれた立場を考える旅となってゆく。(名著の新装復刊)
1945年生れ。新潟県栃尾市生れ。高校生の頃より本格的に山登りを始め、岩登り、沢登り、雪山、アイスクライミング、山菜採り、キノコ狩りと活動はオールラウンドに及ぶ。本職はシダの系統分類を専攻する研究者。主な著書に『多摩川水流紀行』『秘境の山旅』(白山書房)、『山の用語なんでも事典』(山と溪谷社)、『日本登山大系』(全10巻、白水社、共著)などがある。
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